人文学部
Faculty of Humanities
【人文学部】二通諭教授退職記念シンポジウムを開催~「心のお守り」としての『雑談会』~
3月2日(土)本学人文学部二通諭教授の退職記念シンポジウムを開催しました。
二通教授は2009年に本学に着任されて以来、教職課程における特別支援学校教諭の育成にご尽力いただいただけでなく、学内で自助グループ『雑談会』を立ち上げ、発達障害や精神的に困難を抱える学生とじかに向き合い、一人ひとりに丁寧に支援してこられました。
シンポジウムでは「発達障害や精神的な困難を抱える学生に対する教育的支援のありかた -在线麻将平台_打麻将平台-app下載の学内自助グループ『雑談会』の経験から考察する-」をテーマに、本学卒業生とその保護者および学外講師をお招きし、様々な視点からお話をいただきました。
話題提供として、本学卒業生とその保護者の3名がご自身の体験をお話くださいました。
場面緘黙?ひきこもりの経験者として登壇した本学卒業生の大橋伸和さんは、『雑談会』の立ち上げメンバーとして、また当事者として、悩みを共有でき、自分を受け入れてくれる場所が大学構内にあることの安心感が、自分にとって非常に重要であったと語ってくれました。
また、同じく本学卒業生二本松一将さんは自身の辛い被虐待体験を丁寧に聞き取ってくれた二通教授に言われた「君は「愛着障害」というのにあてはまるね。辛かったかもしれないけれども、いい体験をしたね」と言われた言葉が原動力となり、子ども食堂の立ち上げなど地域貢献活動に尽力できたとお話されました。
本学保護者の佐藤ゆみ子さんは、『雑談会』に連動するような形で保護者への情報提供や相談のための『ランチ会』を創設しました。会はすでに40回を超え、参加者の延べ人数は1000人に達しています。「大学での子どもの成長には目を見張るものがあった」という佐藤さんは学生のみならず、保護者の悩みを打ち明けられる場の重要性を語ってくれました。大橋さんも二本松さんも『ランチ会』で講師デビューを果たしました。
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丁寧な言葉で自己の体験を振り返る大橋さん
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「雑談会は心のお守りだった」と二本松さん
指定討論では、NPO法人レター?ポスト?フレンド相談ネットワーク?本学非常勤講師でひきこもり支援をされている田中敦氏と、本学経営学部で地域貢献活動などの講義を担当されている山本純教授にお話いただきました。
田中氏からは、ひきこもり経験を有するピアスタッフが活躍する当NPO活動を紹介。とくに2018年6月から札幌市の委託を受け札幌市ひきこもり地域支援センターと協働して運営する公設民営の居場所「よりどころ」においてピアスタッフとして働く大橋伸和さんの自らの経験的知識を活かしたかかわりが当事者や家族にとてもよい効果を成していると述べられました。当事者団体としての当NPOと専門機関の札幌市ひきこもり地域支援センターが力を合わせて新たな実践的知識形成を目指していきたい、とその抱負を語られました。
山本教授は、二本松さんが学生時代に履修した「教養ゼミナール」の担当教員として、二本松さんが地域貢献プロジェクトについてゼミで議論する中で「課題意識が成熟」していったと言い、自身の興味?関心から市民的責任や自己の社会的役割の認識へと変わったときに、主体的な行動が引き出され学生の創発的なプロジェクトが展開されると述べられました。また、そんな学生たちの思いが地域で実現されるには、有効な「人的ネットワーク」が重要であり、二本松さんの「こども食堂」プロジェクトでは学生自らが人的ネットワークを広げ支援体制を構築したところに重要な意義があると話されました。
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田中氏「経験者ならではの有効性がある」
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山本教授「地域連携はキーパーソンが必要」
全体討論は、会場からの質疑応答形式で行われました。会場からは質問が数多く出され、その全てに丁寧に回答する登壇者の声に、参加者全員が聞き入る非常に意義深い時間となりました。
シンポジウム終了後も登壇者の周りには、「もっと話を聞きたい」という参加者が絶えることなく輪を作っていました。すべて「肯定」から入ることを鉄則としているという二通教授がこれまで築き上げてきた支援の輪は、多くの人たちにとって「心のお守り」となり、明日への希望につながっているのかもしれません。
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教育学的視点で3名の経験を語る二通教授
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かけつけた多くの卒業生に笑顔の二通教授