50年以上前に札幌市厚別区内に建てられたもみじ台市営団地は、居住者の高齢化、入居者の減少のため、地域での諸活動が十分に行えないことが課題となっています。自治会からの要請を受け、本学人間科学科の新田ゼミナール(担当:新田雅子准教授)は、団地の空き室に学生が入居することで地域の活性化が図れないか、調査研究を進めてきました。
3月5日、これまでの調査結果をとりまとめた報告会を開催。もみじ台団地関係者、札幌市担当者、大学教職員ら約30名が参加しました。新田先生からこれまでの経緯と今年度のゼミナールでの取り組みが紹介されたあと、ゼミ生からもみじ台団地の概要、関係者へのヒアリングの結果等の報告がありました。調査結果から、建物の老朽化、Wi-fiやエレベーターが設置されていないなどハード面での課題を指摘。しかし、先行事例として学生居住に取り組む他大学の入居学生へのインタビューでは「人との関わりが多く安心する、孤独を感じない」「部屋が広く、家賃が安い」などハード面の不便さをカバーする住み心地の良さに満足している様子を聞き取ることができました。
新田先生は「学生の目線から課題を指摘したり新たな団地活性化の方策を提案することで、もみじ台の住民や市営住宅の大家さんである札幌市の立場では見えないことを可視化したり、言いづらいことを対話の場に出せると思う。学生も、通常の大学生活だけでは出会わないような世代の人と関わったり、地域で暮らすということの意義を見つめ直す貴重な経験になる。これからも継続して取り組んでいきたい。」と話してくれました。
会の最後にはオンラインで参加した河西学長による総評もあり、「少子高齢化が進む団地に単に人口を増やすということではなく、大学が関わることで関係人口を増やし、地域としての価値を多方面から付加していくことに貢献できれば」と前向きで積極的なコメントをいただきました。
新田ゼミの調査活動の成果が実り、3月末には札幌市と学生入居に関する協定を正式に取り交わすことになりました。もみじ台団地への学生入居に向けた動きがいよいよ本格化します。