一人がとぼけたことやおかしなことを言い、もう一人がそれを素早く指摘する。面白い漫才にはボケとツッコミの絶妙なかけあいがあります。
「この前、スーパー銭湯いったときな、玄関で靴を入れよう思たら『下駄箱』って書いてあってな、靴を入れてええもんかどうか1時間迷うて、結局家に戻ったんや」「アホやな、考えてみぃ、今どき下駄履いとる人間がどこにおるんじゃ! それやったら、きみ、筆箱には筆しか入れんと決めとるんかい?」「それはないで。筆しか入れん人なんておらんやろ」「じゃあ、何入れてんの?」「筆のほかにな、消しゴム入れてんねん」「筆! 消しゴム! 消しゴムで墨が消えるんか。意味わからんことすな」っていう調子です。
さて、最近の社会では、事態が大変なことになって初めて、これまでの異常さや問題点に気がつくことが多くなっているように思いませんか。働き方ひとつとっても、残業時間が毎月のように100時間を超えても当たり前、有給休暇を消化できなくても当たり前など、時代や社会の空気の中で、当たり前や常識のようになってしまっていれば、その異常さになかなか気づけなくなってしまいます。働き方改革としてこれまでの問題に対策が施されるようになったのはごく最近のことですね。
「チコちゃん」を見ていると、当たり前のことが当たり前すぎて疑問すら抱くことができなくなっていることがよく分かります。社会全体がぼけたりおかしくなっている時に必要なのが、ツッコミの精神じゃないでしょうか。彼女は「ボーッと生きてんじゃねえよ」と怒ってますが、私たちも「なんでそうなっているの?」「これって変じゃない?」と気がつける感性を持っていたいと思うのです。
「ネェネェ、オカムラ。なんで緑色しているのに黒板っていうの?」「ネェネェ、オカムラ。『黒板消し』っていうけど、ホントに黒板が消えるの?」とか‥‥‥。
先日、子供とランドセルの下見をしました。私が小学生の頃は男の子は黒、女の子は赤が定番で、近年のランドセル市場には驚かされるばかりです。カラーや刺しゅうの種類も豊富で、子供自身が自分に合ったもの、自分の好きなものを選びやすくな
ったように思います。その一方で、種類が増えたことでなかなか選べないお子さんもいるのではないでしょうか。種類が多くて迷ってしまう、自分の好きな色がいっぱいある…選べない理由もきっとたくさんあるのでしょう。限られた中からたった一つ自分の好みに合ったものを見つけることは、簡単なことなのか、難しいことなのか…最近はそんなことを考えています。(S.T)