心の手帳 62号(2020年7月)

新しい生活

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今年度は誰にとっても新しい生活の幕開けとなったように思われますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
自宅で過ごす時間が増えたことで、片付けをしたという話を聞くことが多いように感じます。これまでと違う環境になると、それまではあまり気にならなかったことの一つ一つについて深く考えたり、自分の価値観の変化について気づいたりすることが少なからずあったのではないでしょうか?「片付ける」という言葉は「物事の決着をつける」「始末をつける」という意味でもあります。
身の回りの整理整頓だけでなく、心の片付けをするときに私たち相談員が必要になりましたら、お気軽にご連絡くださいね。
 

「東南アジアのナイトマーケットと日本の縁日」

佐野 友泰(心理臨床センター研究員?本学教授)
 今は海外に自由に行けない時期ですが、私も含め、東南アジアを訪れるのが好きな人は一定数いると思います。どうして熱帯の国々を訪れるのが好きなのか自問してみました。その理由の一つがナイトマーケットであることに思い至りました。ご存知の方も多いですが、ナイトマーケットとは、おつまみとお酒、食べ物、土産物などが売っている、キラキラした照明がある何とも楽し気なストリートです。時として昆虫や蛇の料理など、私たちが普段目にしない珍しい食べ物に出会えることもあります。熱い国々では、昼間の暑さを避け、比較的過ごしやすい夜に出かけることから、ナイトマーケットが発展したと言われています。
 このナイトマーケットは、私たちが子ども時代、好きだった縁日に何となく似ている雰囲気があります。だからナイトマーケットにいるとノスタルジックな気分に浸れるのですよね。私たちが日本で体験する縁日とは、元来は神仏に縁のある日に人々がお参りするものでした。人々が集まるので出店が出で、現在の縁日になったのです。ナイトマーケットと縁日は全く異なる起源をもつのですが、類似した気分を想起させるのは興味深い事です。
 このノスタルジックな気分は、非日常の最たるもので、ファンタジーといえると思います。ファンタジーの世界で遊ぶことは私たちの心を少しだけ元気にします。皆さん、ナイトマーケットや縁日にメンタルヘルスの向上という意味が見いだせると、遊びに出かける立派な言い訳ができるかもしれません。今は積極的に出かけられませんが、きっとまた自由にこれらを楽しめる日が来ると思います。その日を楽しみに待ちましょう。
 
  

実習生(大学院生)のつぶやき

中国語では「鳥」のことを「ニャオ」と発音します。「ニャオ」と聞くとつい「猫」を思い浮かべてしまいますが、「猫」は「マオ」と発音するようです。なぜ「鳥」が「ニャオ」なのか、なぜ日本語では「トリ」で、英語では「バード」なのか、一体だれがそう名付けたのか、答えはわかりませんが、言語を発明した人類は本当に偉大だと感じます。さらには手話という発声しない言語も作り出してしまうなんて、信じられません。
言語があるからこそ、私たちは美味しいものを「美味しい」と伝え、好きなものに「好き」と伝えることができます。嫌いなものに「嫌い」と伝えることもできますが、せっかく言語という偉大な発明をしていただいたので、なるべく「好き」という気持ちを伝えていきたいですね。(N.S)