学科の特徴
人文学部人間科学科は「諸学の協働による総合的な人間の科学を追及する」ことを基本理念としています。「諸学」とは、さまざまな学問という意味です。具体的には、「社会」「社会福祉」「心理?教育」「文化」「思想」の5つの学問領域を指します。「社会」とは、家族社会、地域社会、職場社会などにおける人間と人間の関係を社会学の立場から考察する領域です。「社会福祉」は人生の出発点から終末期において出会う、さまざまな生活困難や貧困問題を研究します。「心理?教育」は心理学と教育学の見地から人間の発達や人間と人問の関係について研究します。「文化」は考古学、歴史学、民俗学の領域から北海道の生活文化の特質について研究します。最後に、「思想」は哲学、思想、文学の領域から人間観や社会思想について研究するとともに、生命や環境の問題についても考察します。ここにあげたいずれかの学問領域を自己の専門分野としながらも、隣接する学問領域と協力することによって人問に関する生きた総合的な知識を修得することを目指しています。
学科の特徴的な講義?授業など
先に触れた基本理念にしたがって、5つの学問領域がクロスオーバーする形でカリキュラム(教育課程)が編成されています。学際性?総合性が第1の特徴です。学生は4年間、一貫して少人数のゼミナールに所属します。大学での学びの基礎を身に付ける1年生の「人間科学基礎ゼミナール」に始まって、2年生?3年生のゼミナールをへて、4年生では大学生活の締めくくりである「卒業論文」に取り組みます。ゼミナールと卒業論文を通じて自ら研究する姿勢を育成すること、これが第2の特徴です。先の5つの学問領域のすべてにおいて実験?実習科目が設置されています。学生自らが身体と頭を使って「現実から学ぶ」ことを重視しているからです。フィールドワーク重視、これが第3の特徴です。将来、学校教員を目指す人は「教職課程」の所定の単位を修得することで、「特別支援学校教員免許」を含む教員免許を取得するてとができます。また社会福祉関係の仕事に就こうとする人は「社会福祉士」「精神保健福祉士」の受験資格を取得することができます。さらに、博物館や美術館などに勤める場合に必要な「学芸員」の資格も取得可能です。資格課程が充実していること、これが第4の特徴です。
北海道、特に札幌圏の産業構造の特徴を反映して、サービス業、卸?小売業、飲食業への就職が全体の半数以上に達します。とはいえ、多様な学問領域をもった学科であるために、学校教員、学芸員、社会福祉士、臨床心理士などの専門職をはじめとして、さまざまな分野で活躍する卒業生を毎年、コンスタントに輩出しています。また、毎年、数人が大学院に進学して、さらに研究を深めています。これも人間科学科の特徴の1つです。ただ、「資格を取得すれば就職できる」「大学院を出れば就職できる」と誤解しないでください。日々の地道な努力の積み重ねがあってはじめて、栄冠を勝ち取ることができるのです。資格の取得や進学は目的ではなく、あくまで手段です。近年、若者の就職難が日常的に話題になっています。主な要因の1つに、大学卒業者の増加に見合うだけの良好な就職先が日本国内に存在しない、という事情があります。ある著名な「グローバル企業」の場合、新規大卒採用者の半数は外国人です。自らの進路と社会経済情勢の変動は緊密に結びついているのです。時代が求めているもの、それは「広い視野」「豊かな教養」「確かな専門性」の3点セットではないでしょうか。