松川敏道:教員紹介
専門とする研究領域
研究領域は障がい者に関わる諸問題についてですが、現在テーマにしていることは「障がい者施設と社会的ケアの質に関する研究」です。障がい者施設というとあまりなじみのないところかもしれませんが、障がいのある人たちの生活にとっては重要な社会資源の一つとなっています。しかしながら様々な課題もあります。ケアの質もその一つですが、特に障がい者の援助を担う人々によって引き起こされる虐待は、障がい当事者は言うまでもなく援助者にとってもとてもつらいものです。どうしてそのようなことが起きてしまうのか。考えようとしていることは、障がい者施設での虐待をめぐる問題を関わる人々個々の問題としてではな く、そのような状況を生み出している社会の側の問題として捉え、このテーマを通して障がい当事者と援助者を社会はどのように扱っているのかを示すことです。
担当する人間科学科専門科目の特色
担当する専門科目は、社会生活上の様々な困難を抱える人々のことを対象とする社会福祉関連科目で障がい者福祉論、社会福祉援助技術総論、社会福祉援助技術現場実習などを担当しています。障がい者福祉論では、障がいは個人の身体にまつわるものというのではなく、社会的に生成?構築されたある種の不利や困難として考え、障がいの状態におかれているという困難を社会はどのように扱ってきたのかを一緒に考えていきます。また、社会福祉援助技術現場実習は、様々な困難を抱えている人々が生活する場で実際に社会福祉の実践を体験する機会として、たとえば障がい者福祉論で学んだことを具体的にリアリティのあるものに高めながら学ぶことができます。机上で得た知識と具体的体験のすりあわせは、実践性を備えた社会福祉の学びにとって重要であるばかりでなく、学生にとってもかけがえのない学びの体験となっており、本学科の特色あるカリキュラムの一つといっていいでしょう。
ゼミのテーマ、ゼミでどのような活動や行事
ゼミでは「障がい者と社会」というテーマを設け、このテーマに関する文献の講読?討論を通して障がい者問題の理解と関心の涵養を図っています。2007年度は、障がい者が地域で自立した生活を目指してきた背景を 「家族」との関係からまず考察し、「家族」「当事者 」「社会(制度?政策)」の関係を紐解くことをねらいとして進めています。ゼミ生からは時折難しいとの反応もありますが、自発的に発言し議論することを通して、なんとなく「当たり前」と思っていたことが、どうも違うということを自分たちで気づき発見できる過程は貴重な学びの経験となっています。春にはこうした成果の発表の場として、またゼミ生各自の研究テーマの検討の場としてゼミ合宿を行っています。写真はその時の一こまですが、まじめ半分、遊び半分でとても楽しい合宿でした。