経済学部では、本学教員や外部の研究者による研究成果の報告を行う研究会を定期的に開催しています。
7月5日(木)には、本学経済学部の片山一義教授が、「世紀転換期アメリカにおける日本人移民労働者と労務供給請負業」というテーマで研究報告を行いました。
片山教授の研究の専門分野は労働経済学で、特に労働者の供給や派遣を行う事業(労働者供給業)と、その下で形成される労働制度(労務請負制度)の日本とアメリカの発生史に関する研究を行っています。今回の研究会では、19世紀末から20世紀初頭にかけて、日本からアメリカへの移民がアメリカで(特に鉄道業で)労働する際に重要な役割を果たした日本人労働者供給業者の特徴について、収集した資料を分析した成果の報告が行われました。この当時のアメリカ資本主義は、日本のみならず東南欧やメキシコなどさまざまな国?地域からの移民労働力に大きく依存していましたが、それを支えた労務供給事業は出身国?民族ごとに運営されていました。
今回の報告では、労務請負制度は従来の研究において強調されてきたような、前近代的な労働慣行が残る後進資本主義国でのみ発生した労働制度ではなく、先進資本主義国アメリカでも大規模に展開されていたこと、またその制度の内容や特徴もイタリア人など東南欧系移民たちが作ったものと類似していたことが述べられました。