経済学特別講義A(10月10日)
10月10日(金)の経済学特別講義(A)(3講時(13時10分から14時40分))において,財務省北海道財務局理財部長の井上泰延氏がゲストスピーカとして講義をされました.
講義題目は,「我が国の金融行政(総論的)」でありました.講義の方法は,20枚ほどの資料と財務省のパンフレットに沿って,間接金融機関に対する金融行政の実態についてエピソードを交えて講話された.講話全体として,金融行政の基本的な姿勢を簡明に概説されました.特に,金融システムの安定化のための方策としてよく知られている預金保険制度を中心に説明されました.
その展開は,財務局の紹介を兼ねてパンフレット『北海道財務局のごあんない』によって,北海道財務局の業務を通じて国民とどのように関わりがあるのかを時間をとって講話された.特に,財務局は,財務省の出先機関として財政と国有財産の管理,金融庁から委託された民間金融機関の監督?検査(立入検査)などの業務を行うことを説明されました.
次に,金融行政の概要の説明を行いました.金融とは余裕資金のある主体からその不足主体への融通であると話され,間接金融と直接金融の違いは,資金の受け手が破綻などにより資金の返済が不能になった際のリスク負担の取り持ち方の違いであり,間接金融機関である銀行などの預金取扱機関はリスクを直接負担するが,直接金融機関である証券会社などはリスク負担を殆どしない.この基本的な前提を確認され,総論として金融行政の目的(特に,決済機能の安定化),その対象(免許制,登録制によって規制の濃淡がついている)について説明されました.
そして,預金保険制度と金融システムの安定化の関連についての講話をされました.最初に,北海道の預金取り扱い金融機関の構成と,その特徴を概括され,預金保険制度について『まんがでみる預金保険制度』(預金保険機構編)によって説明しました.この制度の変遷,預金保険制度の対象金融機関,対象預金,保護の範囲(一行あたり1,000万円までの預金と利息など)あるいは名寄せなどについて説明されました.
学生も多くの道民カレッジの聴講者も,今回初めて,北海道財務局の業務についての解説を聴く機会を持ったのではないかと思っています.質疑応答の時間では,地方への資金の提供の重要性や,日本の金融機関の資本規模が大きくなってきていることを巡る質問が出ました.
講師をお引き受けして頂きました,財務省北海道財務局理財部長の井上泰延様には深く感謝致します.
経済学部 久保田 義弘