経済学科

20周年記念シンポジウム「人口減少時代における北海道」開催される

2012.01.04

お知らせ
20周年記念シンポジウム「人口減少時代における北海道」開催される
11月18日(金)に20周年企画として「人口減少時代における北海道」と題して講演会とシンポジウムが行われた.まず明星大学教授,一橋大学名誉教授の関満博氏が「人口減少時代の市町村のまちづくり」と題して講演を行った.
20周年記念シンポジウム「人口減少時代における北海道」開催される
この講演では,関先生が東日本大震災の現場におり,当時の状況,そしてその後の状況を,写真を用いて説明された.次に市町村合併が行われ,村が減少していること.そのなかで岡山県の新庄村について紹介し,ヒメノモチと言う餅米を使った餅を売り出したこと,地元の食材を売る直売所で売り出していることを紹介した.日本でこのような直売所が大きく伸びていることを紹介した.直売所からコミュニケーションが生まれ,それが直売所で売られる野菜に生かされたり,レストランなどに利用されたりするなどのメリットが生まれた.農村女性の起業も見られる.また材料に付加価値をつけて売ることについてもそばや高級茶の例を用いて話された.
20周年記念シンポジウム「人口減少時代における北海道」開催される
シンポジウム「人口減少時代の北海道のまちづくりはどうあるべきか」では,まず宮谷内蘭越町長から人口5千300人の蘭越町で,町の運営がどのように行われているかが説明された.まず蘭越町の簡単な紹介があり,蘭越町の高齢化率が30%あることなどが紹介されました.次に農業を軸に「蘭越米」をブランド化して販売することによって農業を維持していること,育苗施設などをつくり,農業を援助していること,移住?定住促進事業を取り組み,移住者や短期滞在者の受け入れをしていること,町有バスやハイヤーに補助金をだすことにより,市場では供給できない交通サービスを町が確保する試み,温泉施設などを町で経営し,雇用の場を確保していること,老人や子どもに対する医療,福祉政策,町の独自の政策を行うため合併をしなかったこと,そのため人員の削減,支出の圧縮をし,合併しなくても健全な財政を保っていること,また後志の16町村と広域連合を形成し,徴税業務などを共同で行っていることなどを紹介された.これらの政策や施策は,これから人口減少社会を考える上で大変参考になるように感じられました.
 
20周年記念シンポジウム「人口減少時代における北海道」開催される
インタラクション研究所の安田睦子さんからは,人口減少地域において高齢者に支店が向けられるが,むしろ現役世代に目を向け,その人たちの雇用の場,若者が活躍できる場,遊ぶことができる場が必要という話をされた.その例として,せたな町と今金町の農業生産者7人でつくる「山の会」が紹介された.「山の会」は自然農法や有機栽培により,安全な食べ物づくりをめざし,いろいろな農産物の生産とその加工品をつくり,販売している組織です.製造販売以外にも地元の農産物を使ったメニューや有名レストランへの食材提供,地元での食のイベントの開催を行っている,ことを紹介しました.それがさらに周囲に波及していくことを紹介しました.
二つの講演が長引いたため,そのあとのぎろんについてはあまり時間がとれませんでしたが,若干の質疑が行われました.
20周年記念シンポジウム「人口減少時代における北海道」開催される
参加者は学生を含め,3講時に200名,4講時に100名程度が参加されました.時間がなく十分な議論する時間がなかったのが残念ですが,中山間地の取り組み,人口が減少しつつある小さな町の取り組み,人口が減少しつつある地域での取り組みについて紹介され,今後のこの問題を考える上での材料を提供したという意味で大変有意義な時間がもてたと言えます.
  • 発行日: 2012.01.04